参考文献

-2008年10月26日-
以下の本を参考にさせていただきました.ありがとうございます.

  1. 「非ユークリッド幾何の世界」 寺坂英孝著, 講談社
  2. 「複素数と非ユークリッド幾何」 梅沢敏夫著, 槙書店 [絶版]
  3. 「ユークリッド幾何から現代幾何へ」小林昭七著, 日本評論社
  4. 「双曲幾何」深谷賢治著, 岩波書店
  5. 「双曲幾何学への招待」谷口雅彦・奥村善英著,培風館
  6. 「ピタゴラスの定理でわかる相対性理論」見城尚志+佐野茂著,技術評論社
  7. 「Modern Geometry with Applications」George A.Jennings, Springer-Verlag
  8. 「幾何再入門」G.ジェニングス著,伊里正夫・伊里由美訳,岩波書店 [Gの翻訳,絶版]


A.「非ユークリッド幾何の世界」
一番最初に読んだ本です.思ったより簡単でしかもかなり厳密な証明も付いているので「非ユークリッド幾何はそんなに難しくないし,面白い」と興味を惹かれました.モデルは主に「半球面モデル」ですが,最後に「クラインモデル」の簡単な説明も載っています.歴史的な話もたくさん載っていて,しかも「ブルーバックス」シリーズなので財布にもやさしく,最初に読むにはとても良いと思います.そのせいか初版は1977年ですが,版を重ねて30刷となりました.
B.「複素数と非ユークリッド幾何」
次にはずーと前に買って「本箱の肥やし」となっていたこの本を読みました.第3章の「非ユークリッド幾何入門」の章が ポアンカレ平面の図形的な説明でとても分かりやすく,しかも 「平面」なので, CabriUで簡単に遊ぶことができ,さらに興味は膨らみました.ただこの本の第四章は私には少し難しすぎて(図も少ない)もっと詳しいことを知りたい気持ちにさせられました.モデルは「ポアンカレ平面」と「ポアンカレ円盤」です.このあとC〜Eの三冊をほとんど同時に購入しました.
C. 「ユークリッド幾何から現代幾何へ」
この本で初めて「ユークリッド幾何」の(古典的)公理・定理系の概観を知りました.歴史的なことも,個人的な感想も適度に載っていて,第2章までは面白く読めます.第3章からは微分幾何の予備知識がないと難しいと思います.第2章では,双曲的直角三角形に対して「ピタゴラスの定理」を直接にポアンカレ平面上で計算で証明して,次に一般の三角形を二つの直角三角形に分割し 余弦・正弦定理を証明しています.「ピタゴラスの定理から余弦・正弦定理へ」という流れは,高校での余弦定理の証明の仕方と同じなので,高校生(一般の大学生にも) には分かりやすいと思います. (このやり方は拝借させて頂きました.) しかし直接 ピタゴラスの定理を証明すると,やはりそこそこ計算が必要なので,私は「平行線角の定理」を最初に説明して,平行補助線を引くことにより証明しました.この方が 厳密さでは劣るものの 計算が少なく WeB向きと考えたからです.モデルは最初に「ポアンカレ平面」を詳しく述べ,あとで簡単に「ポアンカレ円盤」,「クラインモデル」,「擬球モデル」について触れると言うスタイルです.「擬球モデル」は余り他の本に載っていなかったので助かりました.
D.「双曲幾何」
「ポアンカレ平面」と「ポアンカレ円盤」,ならびに「双曲面モデル」が載っています.この本は「双曲面モデル」がかなり詳しく載っています.さらに最後の章は「タイル張り」について初歩的なことがくわしく説明されています.「双曲幾何学への招待」のタイル張りの説明と合わせて読むと 「わかった気もち」になります.
E.「双曲幾何学への招待」
京都大での教養学部生向けの講義ノートが基になっていて「非常に綺麗に簡潔にまとまった本」です.本文が180ページの薄い本ながら,最後は「3次元双曲空間のタイル張り」まで述べています.しかも「主な証明つき」です.したがって説明は行間を読まないと良く分かりません.例えば「一次分数変換」の説明はたった4ページ,球面三角法の説明も3ページ,「双曲面モデル」の説明も1ページ・・・といった短さです.しかし驚くことにこれで全てを簡潔に証明しています.とにかくこの本は「骨格」だけの本です.歴史的なこと,余分なことはまったく載っていません.しかし証明の鮮やかさや説明の簡潔さは際立っているので,一読の価値はあります.喩えるなら「噛めば噛むほど味の出る本」でしょうか? 良く噛まないと良さは分からないと思います.モデルは最初が「ポアンカレ円盤」.次が「ポアンカレ平面」,「クラインモデル」,「半球面モデル」,「双曲面モデル」と続きます.
F.「ピタゴラスの定理でわかる相対性理論」
[A]と同じく一般の読者向けに書かれた本ですが,こちらは21世紀になってからの出版なので,数式や証明は非常に少ないです.球面三角法(ピタゴラスの定理)の証明は参考にさせていただきました.この本には球面三角法の正弦・余弦定理の図形的な証明も載っています.残念ながら双曲三角法の図形的説明は載っていません.(そもそもそれは,可能でしょうか?) 証明は少ないですが,いろいろな逸話が非常に豊富で,面白く気楽に読める本です.
G&H.「幾何再入門」(Modern Geometry with Applications)
双曲幾何の本というより,Modern Geometry(?)のトピックスを分かりやすく証明つきで書いた本です.内容は「ユークリッド幾何」,「球面幾何」,「2次曲線」,「射影幾何」,「相対性理論」で,「双曲幾何」は割愛されています. 「球面幾何」の章では,球面三角法の厳密な証明(初歩のベクトル解析を使う) が載っています.また球面余弦定理の2つの表現の同値性の説明を,「双対球面三角形」を使ってやっています.ここには図形的なイメージがあって面白いです.しかし,特にこの本で良かったのは「射影幾何」の章で,とても解かり易く,かつ初歩的で重要なことは,殆ど全て証明されています.(ただし「射影幾何の基本定理」の証明はない).特に,「複比」の章は「クラインモデル」を勉強する時にとても役立ちました.
 



by 生越 茂樹(Ogose Shigeki)